台所のシンク下にあるキャビネットの扉を開けた瞬間、もわっとした下水のような不快な臭いが鼻をつく。物を出し入れするたびに気分が悪くなるこの悪臭は、多くの場合、排水系統で発生している水漏れが原因です。普段は目にすることのないこの暗くて狭い空間には、排水ホースや排水管が通っており、水漏れの好発地点となっています。最も多い原因の一つが、シンクの排水口と床下の排水管をつなぐ「排水ホース(排水ジャバラホース)」の不具合です。このホースは経年劣化で硬化し、ひび割れや亀裂が生じやすくなります。特に、熱いお湯を頻繁に流す家庭では、劣化のスピードが早まる傾向があります。その亀裂から、食器を洗った後の汚れた水が少しずつ漏れ出し、キャビネットの底板に溜まります。溜まった汚水は、食材カスや油汚れを含んでいるため、すぐに腐敗し、雑菌が繁殖して強烈な悪臭を放つのです。また、排水ホースと床下の排水管の接続部分の緩みも、水漏れの一般的な原因です。ナットが緩んでいたり、防臭ゴムが劣化して隙間ができていたりすると、排水の勢いでそこから水が漏れ出してしまいます。さらに、見落としがちなのが、排水管自体の詰まりです。長年蓄積された油汚れや食材カスで排水管の流れが悪くなると、行き場を失った水が、接続部分などの弱い箇所から逆流し、キャビネット内に溢れ出してくることがあります。この場合、シンクの水の流れが悪い、ゴボゴボと音がするといった前兆が見られることも多いです。シンク下の水漏れは、発見が遅れるとキャビネットの底板を腐らせ、カビだらけにしてしまうだけでなく、床下へと水が浸透し、より深刻な被害を引き起こす可能性があります。キャビネットから漂う悪臭は、見えない場所でトラブルが進行していることを知らせる重要な警告。すぐに内部を点検し、原因を特定して対処する必要があります。
シンク下のキャビネットが悪臭!排水ホースの罠