かつての屋外水道は、単に水を使うためだけの無機質な設備でした。しかし現在では、特に「立水栓」を中心に、そのデザイン性が飛躍的に向上し、庭全体の印象を左右する重要なエクステリアのアクセントとして認識されるようになっています。デザインを選ぶ際のポイントは、建物本体の外壁や窓サッシ、玄関ドア、そして庭のテイストとの調和です。例えば、シャープで直線的なデザインのモダンな住宅には、ステンレスやアルミといった金属製の、シンプルでスタイリッシュな立水栓がよく似合います。無駄を削ぎ落としたフォルムが、洗練された空間をより一層引き立ててくれるでしょう。一方で、レンガや塗り壁を用いた南欧風(プロヴァンス風)や、温かみのあるナチュラルテイストの住宅には、木目調のデザインや、本物のレンガを積んだようなアンティーク風の立水栓が相性抜群です。蛇口も、シンプルな十字ハンドルではなく、小鳥やイルカなどをモチーフにした遊び心のあるデザインのものを選ぶと、物語性のある楽しい水回り空間が生まれます。和風の庭園であれば、御影石風の重厚なものや、竹を模したデザインの立水栓が、しっとりとした風情を醸し出します。また、立水栓本体だけでなく、下に設置する「ガーデンパン(水受け)」のデザインも重要です。シンプルなFRP製のものから、陶器製、タイル張り、小石を敷き詰めたものまで様々で、立水栓との組み合わせ次第で印象は大きく変わります。一方、「散水栓」は、その存在感を消すことがデザインの基本ですが、隠す部分にもこだわりたいものです。プラスチック製の無骨な蓋ではなく、周囲のレンガやタイル、枕木などとデザインを合わせた化粧蓋(カバー)を選ぶことで、地面と一体化した美しい仕上がりを実現できます。このように、水道設備を単なる機能としてではなく、デザイン要素として捉えることで、庭はより個性的で魅力的な空間へと深化します。